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2024年に「健康投資ワーキンググループ」から「健康経営推進検討会」と名称を変更した経済産業省の取り組みは、これからさらに注目が高まっています。
2025年の健康経営推進検討会は、企業における従業員の健康管理とその経済的効果を議論するための重要なイベントとなります。
現代社会において健康経営は単なる福利厚生ではなく、企業の持続可能な成長に欠かせない要素となっています。
特にコロナウイルスなどのパンデミック以降、健康と安全がビジネスの最優先事項として再認識され、企業は従業員の健康を守るために新たな取り組みを進めています。
今回は2024年12月に行われた健康経営推進委員会の内容を参考にしながら、健康経営の現状と課題、2025年の検討会での議論ポイント、今後の展望について詳しく掘り下げます。
さらに、健康経営が企業文化に与える影響や、具体的な取り組みがどのように効果を発揮しているかについてもみていきましょう!
健康経営とは、企業が従業員の健康を促進するための戦略的な取り組みを指します。
現在、多くの企業がこの取り組みを進めており、その効果が広く認知されています。
健康経営優良法人2025では認定数が大規模企業、中小規模企業合わせて24,000社以上の企業が認定を受けていることがわかりました。
これは大規模部門で前年より10%増、中小規模部門では17%の増加となっています。
毎年順調に申請数が増加しており、これは少子高齢化が進むことで人材不足などの問題がより顕著となってきたことで、企業が従業員の健康を通して未来を見据えた取り組みの重要性を再認識していることが背景にあると考えられます。
2025年の健康経営度調査では、これまでの取り組み同様に3つテーマを基に推進施策の進捗状況が報告されました。
1.健康経営の可視化と質の向上
2.新たなマーケットの創出
3.健康経営の社会への浸透・定着
これらの中でも、2024年度改定のポイントである
・PHP(パーソナルヘルスレコード)※の活用促進
・柔軟な働き方の促進
・非正規社員等を対象に含めた企業の評価
・小規模法人への特例制度の導入
などの、新設や改定された項目について検討課題として討議されました。
※PHRとは・・個人の健康や医療・介護に関する情報をデジタル化して管理や活用をする仕組みのこと
今年度調査の状況報告の中で、注目したいポイントをひとつご紹介します。
参考資料として、2024年の健康経営優良法人認定申請書の一部が提示されました。
設問「仕事と家庭生活の両立に向けた環境づくりのためにどのような取り組みを行っていますか。」というものです。
回答欄の前に赤字で「なお、仕事と育児または介護との両立支援については~(中略)、来年度は認定要件に追加することを想定しています。」と記載があります。
これは、特に仕事と介護の両立支援について、経営層のコミットメントがある法人は2割はあるものの、実態の把握が十分ではなく、従業員のニーズに基づいた施策の検討を進めることが困難となっていることが課題として挙げられたことによる追加となる見通しです。
そもそも、取り組みを行っている法人が2割でとどまっていることも問題に感じる方もいらっしゃるかもしれません。
さらに、その2割も現状では本当に従業員のニーズに応えられているかという点では疑問が生まれているということです。
そこで、2025年度から健康経営優良法人の設問に追加することで、より意識を高めることが重要であるとされての変更となりました。
これからの高齢化社会において「介護離職」はさらに深刻な問題となります。
時代の課題に健康経営優良法人も変化していることが感じられるポイントではないでしょうか。
これからの健康経営のあり方について、以下のことが言及されました。
「人的資本の価値を高める健康経営」
『⾃ら価値を高められる資本である「人」のパフォーマンスを引き上げる健康経営の浸透は、様々な側面で価値向上をもたらす』ことであるため、健康経営が人の価値を高めて人的資本経済の土台作りには欠かせないと定義されたのです。
これにより、人的資本経営を行う企業にとって健康経営がより重要な経営手法となり、これまで以上に可視化・数値化が求められる時代となりそうです。
政策推進をする政府と認定事務局の民間の連携が、日本経済社会を支える基盤となる健康経営作りを加速させるためには不可欠となるでしょう。
推進施策の進捗状況の中でも「健康経営の可視化と質の向上」では女性の健康施策について取り上げられました。
多様な背景を持つ従業員の支援として開催されているセミナーでは、「女性特有の健康課題による社会全体の経済損失」は年間約3.4兆円。」という調査結果も公表され、女性の健康施策の課題が急務となっています。
そこで、来年度より実施される女性の健康施策の効果検証プロジェクトについて紹介されました。
このプロジェクトでは、女性の健康課題についての現状把握と効果を測ることで働く環境整備を目指します。
2024年12月20日からプロジェクト参加の法人募集がされ、実施内容と効果測定指標を明示することで、他の参加法人との現状把握の共有が可能になります。
この施策は10月頃まで実施予定で、今後の女性の健康施策への反映が期待されます。
さらに、女性の健康施策に対する先進的な取り組み事例も公表され、より質の高い健康経営の実施に向けた動きも進んでいます。
今後の健康経営の意義・目的の浸透についても、以下の項目が議論されました。
①健康経営の可視化と質の向上
・経営トップのコミットメントの引き出し方
・経営戦略への位置づけ
・無関心層を巻き込むための方策
②健康経営の社会への浸透
・定着・若年層の認知拡大に向けた方策
・小規模事業者への認知向上・取組支援
これらは、これまでの健康経営の取り組みで課題として挙がった議題や時代のニーズの変化、新たに起きた社会問題などに健康経営がどう向き合うべきかという観点からの論点となっていると考えられます。
多くの問題がありますが、検討会で議論されたエビデンスなどの資料から、効率的で有意義な仕組みづくりの構築や、業界団体への連携などが重要となります。
健康経営推進検討会は、企業が従業員の健康を支援するための新しいアプローチを模索する重要な検討会となり、今後の社会の健康経営の動向を明確にするための内容が中心となりました。
健康経営の現状や課題について理解を深めることで、今後の取り組みを進めるための具体的なアイデア論点となり、企業がこれからも「健康経営」の基本をもう一度考え、従業員の健康と経営の関わりを改めて見直すことが大切であることが再確認できますね。
企業や政府が協力して、より健全で持続可能なビジネス環境を構築することが重要です。
また、健康経営の推進には、企業のリーダーシップと従業員の積極的な参加が欠かせません。
今後も継続的な取り組みを通じて、より健康で活気のある職場環境が実現されることを期待したいですね。
さらに、健康経営の推進は、企業の競争力向上にもつながります。
従業員が健康であれば、生産性が向上し、病欠の減少や医療費の削減につながります。
また、従業員の満足度が高まることで、離職率の低下や優秀な人材の確保にも寄与します。
今後は、より健康経営は人的資本経営の根幹になる流れも見込まれているので、日本の企業にとって健康経営が経営の「当たり前」となる日も近いのかもしれませんね。
<参考文献>
経済産業省・第1回 健康経営推進検討会
https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/health_management/001.html